ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第160章 額の中の物語
美術館に飾られる程の画家さん、ご存命であってもそれなりに歳を重ねているだろうと彼の言葉に頷きながらも
私はクルフトさんの作品を見付ける度に夢中に成った
額縁の中現実と夢の狭間を魅せる様な色彩や情景は写真とも絵本とも違っていて
気が付けば最後の展開エリア
私は彼女の作品を見付けて足を止めた
一際大きな額の中
寝室らしき場所で金色の美しい髪をした青年がまだ若い女性をその腕に抱いている絵画
腕に抱かれた女性は眠っている様で睫毛を伏せてだらりと腕を下げ
青年はそんな女性を愛しそうに包んでいた
じっと見ていたら吸い込まれそうに美しい絵画を只見詰める私の隣で彼は小さく唇を開いた
「クルフトは行方不明のままなんだよ。まぁ平均的に考えて生きてはいない年齢だけど。」
「………え」
「彼女が最後に残した絵がこれ。この絵には本人が添えた物語があったんだ……ほら、そこに展示されてる。」
彼の長い指が指す方へ目を向けた私は文章に視線を走らせて物語へ引き込まれた