第160章 額の中の物語

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ただ広く壮観な部屋に賑やかさが戻る

彼は普段通り物静かだが私は大好きな彼が無事に帰って来てくれた喜びに解りやすくはしゃいでいた


カチャカチャと楽しく鳴る食器の音は二人分


私は彼と会えなかった数日の出来事を嬉々として語り、彼はそんな他愛ない話に時折相槌を打ってくれている


時刻は丁度お昼時


久しぶりに感じる温かな雰囲気に食もお喋りも止まらず気が付けば昼食後のティータイムに成っても私は話し続けていた



「それでね！私「沙夜子」


「………？」


コーヒーカップを一口傾けてから真っ直ぐに交わった彼の眼差し

話を遮って名を呼んだ彼が何を話し出すのかと見詰め返す数十秒


彼は特有の間をたっぷり使って



「時間があるし今から出掛けない？」


単調ながら素敵なお誘いをしてくれた


「はい！すぐに用意します！」


私は目に見えて舞い上がっているだろう………


何せ彼からデートのお誘いを受けたのだ！！



私は軽い足取りでベッドルームへと飛び込んで手早くも丁寧に身成を整えた


普段よりパッチリとした目元とピンクのうるうる唇

随分と伸びた髪はハーフアップにセットして
白いワンポイントのTシャツにブカブカのデニムを合わせた


………シンプルに見えて私にはテーマがある………


最近見た番組で男性は揺れる物を本能で追うと言っていた……なので！敢えてロング感を残したハーフアップ！うなじのチラ見え効果も抜群！
ピッチリとしたTシャツで胸から腰の括れラインを強調！
ブカブカのデニムもアンクレットが見える丈で足首の華奢さを演出！


足元はスニーカー………では無く！白のヒールを合わせればラフ過ぎない品をプラス出来る



…………………完璧…………完璧だ……！！！