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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第160章 額の中の物語








私はもっぱら親方と遊んでいる


この部屋で親方を見失えば富士の樹海遭難レベルなので場所は植物園だ

何故か砂浜をイメージした様なビーチチェアの寛ぎエリアがあり植物も無い砂場

其所ならば誤って何かを口にしてしまう事も無いし穴堀好きなハムスターちゃんには素敵な空間だろうと考えたのだ

小さな身体で夢中になって砂を掘り掘りするキュートな姿を見詰める癒しタイム


親方には多大なる苦労を掛けた


私に付き合って異世界迄連れて来られるなんてたまったものではないだろう……



なんて掘った穴ボコでスヤスヤ眠り始めた親方を眺めてどれだけの時間が経ったのか


突然照明を遮る様に影が落ちて見上げれば彼が音も無く佇んでいた



…………一人ぼっちで不安や身が裂けそうな切なさと戦っていたほんの数日は途方も無く長かった

ずっと帰りを待ちわびた大好きな彼の存在は最早そんな私の世界の全てで

無事に私の傍に帰って来てくれたそれだけで心底幸せだと感じた



大きな瞳が伏し目がちに此方を見下ろし薄く形の良い唇が「ただいま」と数日ぶりの淡白な声音を響かせる


私は其れに応える様に頬が緩んで気が付けばその長い脚に抱き付いていた



「お帰りなさい!イルミさん!待ってましたよ私!」


「うん。」


突然脚に付きまとわれ様とも平然とした声色は変わらずニヤニヤ顔を上げれば彼は砂場で眠る親方をじっと見ていた



「何してたの?」


「親方に砂遊びをと思いまして、ハムスター穴掘り好きやから」


「ふーん。」



自分から尋ねておいて特段興味も無さそうに間延びした声を漏らした彼は私がやんわり離れると傍にあるデッキチェアへちょこんと腰を降ろした


どうやら眠っている親方を見て付き合ってくれる気らしい





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