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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第159章 夏の味のヒトコマ







06月のある日



二日間車で移動を続け三日目に差し掛かった


その間一度車種が変わりこの世界では有り得ないだろうと思っていた車中泊をして

彼は久しぶりに身体を伸ばして眠っていた

やはり警戒している様でぐっすりとは行かないにしろ眠っていると確認出来るだけ安堵した


食事はもっぱらドライブスルー

彼はその上品な雰囲気とは裏腹に豪快なかぶり付きを見せるのでその度に胸キュンしながらも駐車した車から私達は街へと降り立った


パキパキと身体を鳴らしながら伸びをしてトイレ休憩だろうか……なんてぼんやり考えていた私だが


「ちょっと休憩。」


単調に言った彼は毛ほども疲れを見せないがやんわり私の手を引いて歩き出した


手を繋いでいると言うより誘導に近いそれに何処か目指している場所があるのだろうと思うけれど



………何て可愛い街だろう………!!


沢山のカラフルなパラソル、オシャレなオープンカフェ、石畳の歩道に馬車が走り
レンガ造りの建物には所狭しと露店が軒を連ねていて

よくよく見てみればレトロなガス灯は可愛く街を飾り
まるで中世ヨーロッパにでもタイムスリップした気分だ


私は早速ルンルンとデート気分で彼に着いて行く

いつでも動ける様にとお化粧はバッチリ

服は車内での事を考えて楽なワンピースだけれど異国情緒満載の街中で浮くどころか何だか可憐な乙女に成った気分だ


浮かれ気分でキョロキョロと辺りを見渡して隅から隅まで可愛い造りに頬を綻ばせたその時


私はある一点から目を離せずに立ち止まった


賑やかだった雑踏が遠くに聞こえて自身の呼吸だけを感じる最中




「…………私ここ知ってる」



発すると言うよりポツリと漏れ出した声に引かれるまま立ち止まって此方を見ていた彼は僅かに眉を潜めた




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