ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第158章 ヘッドライトが照らす道へ
気が付けば私は山菜をそのままに熱心に彼の指を眺めていて
「…………あのさ、」
「はい!!」
彼の呆れた視線に気が付いた頃変な汗が背中を流れた
別に疚しい気持ちは無いにしても何と言えば良いのやら………
「………そんなに気になる?」
彼はビキビキの人差し指をピンと立てて見せるが
そんな事されずともめちゃくちゃ気になる…………とも何と無く言い辛い
「はぁ……まぁ………」
なんてあいまいに答えた私に彼は「ふーん。」なんて単調に呟いた後
何故かジャキン!!と右手全てを変形させて見せるので私は条件反射的に盛大に肩が跳ね上がった
非常に失礼だがバクバクと脈打つ心音
彼は最早人の手とも知れない右手を私の前に静かに差し出す
…………多分見せてくれているのだ
「肉体操作の基礎だから珍しいものでもないよ。」
「肉体操作………ですか………」
「うん。」
珍しいとか以前に常人には不可能な形状である事は間違いない………
「………凄いですね」
「別に。」
「…………」
「…………。」
私達はその後沈黙のシュールな時間を過ごし静かに山菜処理に戻った
私は彼の手が好きだ
大きくて力強い
だけど優しく私に触れる繊細な彼の手が
長い指に容易く摘まれて新聞紙に落ちる芽
常人には必要の無い肉体操作
一体その手で何人の命を奪って来たのだろう……なんて考えて途中で止めた
「後はアク抜きで水に浸せば良いよ。」
「はい!ありがとうございます!」