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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第157章 キスの妄想は泡に消える






涼を確保する為に網戸のままだったベランダから風が入って揺れるカーテン

親方が私達の気配にご飯だとはしゃぐケージの音だけが響くリビング

彼はその音につられる様に気だるい雰囲気のまま親方の元へ足を運び慣れた手付きでエサをやる


「待て、回れ。」


なんて以前教えた芸をきっちり見た後に几帳面に決めた分量を与える姿を見詰めながら私は心底幸せを噛み締めた


「親方お利口ですよね~覚えてますもん」


「このくらい覚えてなきゃ馬鹿だよ。」


「親方に暴言はやめてください」


「……お腹空いた。」


彼も随分人間味が出たなぁ、なんて思う一方で最初と変わらない飄々と掴み所の無い無機質な雰囲気に想いがじわりじわりと溢れて


「はぁ………好き………」


うっとりと漏れ出た愛の言葉だったが彼は可憐にスルーした



「そんな所も素敵です」


「……………。」


(………もうっ照れ屋さんなんやからっ♪)






_________"





10:07



私は彼と共に村近隣の森の中へとやって来ていた



穏やかな朝の雰囲気から今日は一日のんびり過ごすものかと思っていたのだが


「今晩にはここを出て新たな拠点に移動する。」


突然抑揚無く告げられたスケジュール報告に私は居ても立ってもいられなくなったのだ



……………私達はこの村でデートらしいデートをしていない……





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