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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第156章 ある日の二人



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18:24





「お帰りなさい!!!」


「ただいま。」



大好きな彼のご帰宅だ………!


狭い玄関で靴を脱ぐ彼に嬉々として駆け寄れば彼はチラリと私の足元に視線を落とした


「……怪我の具合は?」


「まだビビりながら生活してます!イルミさんこそ怪我してませんか?」


「ある訳無いじゃん。」


ふうっと息を吐き出しながら座椅子に真っ直ぐ向かう彼の背中を追う私はさながら忠犬だがそんな事はどうでもいい


彼が無事帰って来てくれた、それだけで嬉しくて幸せで


気だるそうに座椅子に胡座をかいた彼の隣に満面の笑みを浮かべれば彼はテーブルで湯気を上げる夕飯に瞳をクリクリさせた


「鍋。」


「はい!あ、今お酒持って来ますね!」


「うん………。」



ジャポンで彼が買ってくれた土鍋がリュックから出て来て夕飯は久しぶりにお鍋にしたのだ


こんな季節にお鍋なんて……と思うかもしれないが冷えた体内が温まり身体に良いらしいとテレビで見た

彼は平気だろうかと盗み見ればクリクリの瞳はじっとお鍋を見詰めたままでその反応から喜んでくれているのだと感じて上機嫌になる

頑張って良かった……!

食材や調味料が違うので完全な日本風とは行かないが中々上手に出来た筈だ


「お疲れ様です!」


「お疲れ。」


カチンと涼し気に鳴ったグラスとグツグツ煮えたお鍋


ドキドキしながらお皿に取り分ければ彼は上品な所作で出汁を一口飲み込んでそっと離れた無感動な唇を僅かに綻ばせ


「美味しい。」


瞬きにも満たず双眼を細めてポツリと落とされた小さな声は私の胸を撃ち抜いた


テレビから流れるニュース番組をチラチラと見ながらも未だ何処と無く嬉しそうな彼の横顔にキュンキュンとして


「いっぱい食べてくださいね!」


「うん。」


私はそんな彼をニコニコと眺める内にいつの間にか随分と飲み過ぎてしまっていた





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