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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第155章 汗ばんだ夜







本当に楽しいと思ってくれているのだと実感すると共に二人分の思い出が増えて行くのだと思えば心底幸せで


そしてそれとは別に瞬間にして移り変わる彼の色から目が離せずに頬を染めていた私は容易く顎を掬い上げられて唇を奪われていた




やんわりと体温を伝えるだけの優しいキス


いつの間にか重ねられていた大きな手



ゆっくりと身体を離した彼は「間抜けな顔だね」なんて意地悪を言うけれど私の胸は溢れるトキメキにパンクしそうだった


優しく重ねられたままの手が熱くて恥ずかしい


ドキドキと煩い心音はきっと彼にも届いていて何も言い返す事も出来ぬまま俯いた私だが


「あ、ホタル」


間の抜けた声を辿って視線を上げれば辺りを鮮やかに照らす色とりどりの淡い光の世界が広がっていた


「………わぁ!!!凄い!カラフルなんですね!」


小さくも力強い光はピンクや赤、オレンジに黄色と様々に空中を漂い、まるでパレードみたいに賑やかなのに
川のせせらぎと間近な森の匂い、そして美しくも儚げな夜に感動して思わず彼の手を握れば



「沙夜子の世界では緑がかった黄色だっけ、図鑑で見た。」



聞こえた小さな声に幻想的な感動も相まって危うく涙が溢れそうになった



「……そうです、私の方では一色だけやからビックリしました」


「そう。」


「今もめっちゃくちゃ綺麗やけど私の世界のホタルも綺麗ですよ!」


「へー。」



短くて無愛想な相槌

だけど穏やかな声音に私は止めどなく喋り続けて

懐かしい様で真新しいこの時をずっと忘れないでいたいと思った





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