ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第154章 なんでもない日
ルールは至ってシンプル
向かい合って座り相手の目を見て「愛してる」と言い合うのだ
照れた方が負けなので私が負けてしまうのは確実だが彼に愛してると言われるなら全然負けて良い
彼に愛してると言わせる為なら私は照れを一切感じさせず真剣に愛の言葉を伝えられるだろう………
とりあえず向かい合って座った私達
私は一切の下心が無い雰囲気でルールを説明した
彼は途端に露骨に呆れた表情を浮かべて脳内を見透かして来るが全然構わないのだ
彼に愛してると言われるならば………
「では、私の攻撃です」
「……………。」
「愛してる」
私は彼の呆れた瞳をじっと見据えてきっちりと言い切った
彼はてっきり私が照れると思っていたのか少し眉を潜めた後に大きな溜息を付く
「さ、イルミさんですよ」
……………そしてこのゲームには「もう一度」と言うことで相手に何度も愛してると言わせられるシステムがある
私はこのシステムで最低二回は彼の愛の囁きを聞こうと決めている
私は愛に貪欲なのだ
ガシガシと頭を掻きながら「本当下らないゲームを見付けたね」なんて呟いた彼は気だるそうに顔を上げると真っ直ぐに私を見詰めた
大好きな瞳に自身が映ってドキリとはね上がった心音
しかし赤面してはいけない、何としても彼の言葉を聞くまでは………
本当にいつ見ても彼は中性的で美しいと思う
長い睫毛、はっきりとした輪郭の瞳、弓なりな眉、高い鼻筋に薄い唇
凛とした雰囲気は不思議な色香を漂わせてその姿に見惚れてしまう
そんな何処を取っても美しい彼が悠々と唇を開くのを私は静かに待っていた
「愛してる。」