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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第154章 なんでもない日





その日の晩


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私達が自分達のやらかしに気付いたのはほぼ同時であった


トイレとコンパクトなシャワールームが一緒に成ったユニットタイプのお風呂は彼には抵抗があるのでは……なんて思ったけれど案外平気そうで安心した


ドライヤーは購入せず扇風機で乾かすスタイルにしたので交代で入浴後髪を乾かしがてら涼む至極タイムを堪能


テレビはやはりあって良かった


案外テレビっ子の彼とがっつりテレビっ子の私なので娯楽としてたかが数時間でかなり重宝した



夜も深まりそろそろ寝ようか、と成ったその時である



「……………。」


「……………」



私達は同時に無言のまま見詰め合った


…………何を言われずとも同じ事を思っているに違いない








「「ベッドが無い」ですね」






私達の声は異例にハモったのだ



宿泊先にベッドがあるのが当たり前過ぎて完全に存在を忘れていた


スマホを確認しなくとも絶対に商店は開いていない

昨日一睡もせずに運転し続けた彼にゆっくり休んで貰いたいなんて思っていながら忘れるなんて流石私だ……………


彼は多分商店の物珍しさでベッドどころでは無かったのだろう


…………別に地べたで眠れない事は無いし良いのだがせめて枕が欲しい…………

生憎タオル類は掃除と入浴で使い、キッチンに掛かっているものは使用して濡れている


無いものは仕方がないので洋服でも代用するとして………ともかく……彼が懸命にフローリングを掃除してくれていて良かった………




なんて考えている内に暫く続いた沈黙を破ったのは彼だった



「座椅子を枕にしよう。」


「座椅子ですか」


彼は言いながら先程まで鎮座していた座椅子をフラットにして寝床をセッティングしている


確かに洋服類がシワにならないし賢い案は流石彼だが

ベッドの存在を互いに忘れていたには変わり無い


スッと壁際に寄せられたぺたんこの座椅子が妙にシュールである




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