• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第153章 村の片隅で始まる







本来なら商店のおじさんが取り付けてくれるらしいのだが他人の侵入を頑なに拒否した彼は人生初の洗濯機取り付けに挑戦しようとしているのだ


親方のケージを風当たりの良い場所に決めていよいよ何もやる事が無い私は紅茶でも飲もうかとキッチンに立った



地べたに置いたコンパクトなテレビ

小ぶりの冷蔵庫

真新しいポット

低すぎるテーブルは最早ちゃぶ台と言っても過言では無いけれど狭い部屋にはよく似合っていた


部屋に聞こえるのは親方の楽し気な回し車の音と彼の捲る紙の音



「イルミさんもコーヒー飲みます?」


キッチンを振り返って見れば彼は説明書から顔を上げて僅かに目を見開いた



「?」



何故か広がった謎の沈黙


じっと見詰め合ったその時




「何か久しぶりだね、こういうの。」




単調に響いたその声は何処か穏やかに私の耳に届いた


彼は今、あのアパートのキッチンに立っていた私の姿を見たのだ



「コーヒーお願い。」



本当に一瞬だったけれど確かにそう感じさせたのは説明書へと落とされたその眼差しが少しだけ穏やかに見えたからだろう





/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp