ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第153章 村の片隅で始まる
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根っからの貴族で一流にお育ちの良い高貴な彼は今、真剣に床の拭き掃除をしている
購入品を広げるより前に始まったのは掃除だ
一度やると決めたら生真面目な彼は完璧な清掃を目指して黙々と作業を続ける
勿論私も水周りの清掃に尽力を尽くしているのだが
高級ホテルではめっきり見なかったその姿はやはり懐かしさを思わせるものだった
きっとご実家の御手洗いよりも狭い狭い部屋を真剣に掃除している可愛いにも程がある姿をスマホカメラで切り取れば
すっと双眼を細めた彼が顔を上げた
「あのさ、今は掃除の時間だよ?」
「…………っ」
掃除の時間、という響きから小学校を思い出して咄嗟に笑いを噛み殺す
その姿が可愛いに留まらず言動まで可愛いなんて…………っ
「手が止まってるよ。」
「す、すみません………っ」
「別に。」
再び床に向き直りゴシゴシする彼はやれやれ感満載で溜息を吐いた
(可愛いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいああああああああああああああああ!!!!!)
まるで掃除の時間の班長や生徒会の会長さんじゃないか!!!!!
「うふ、うふふふふふ」
「…………何。」
「いえ……めっちゃ可愛いですね、イルミさん」
「馬鹿じゃないの。」
私は暫く悟られぬ様に必死に口の中を噛みながら掃除を続けて
一時間程経過した頃にはキッチン用品を仕舞ったりリュックの中身をクローゼットに仕舞ったりという整頓作業に移っていた
彼はと言うとソファーの代わりに購入した座椅子で胡座をかいて真剣に洗濯機の説明書を読んでいる