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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第153章 村の片隅で始まる



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宿泊施設は無い、と言う事はこのアパートはウィークリーマンション的な物でも無く本当に賃貸物件と言う事で

つまりは備え付けの家具等も無く、更に長く空き家だったのか少し掃除が必要だ

いつの間に契約の全てを済ませたのか電気ガス水道共に通っているそうだが流石に家具が何も無いというのは不便だ

カーテンも無いベランダから外を覗き見れば小川がせせらぎ何とも穏やかな風景が広がるが


………………とにかく暑い…………


彼は普段と変わらず涼やかだが私が一日中この部屋で過ごしたら真夏では無いにしろ干からびてしまうだろう…………


と言う訳で、私達は必要最低限の物を買い出しに村へ出ていた


以前私達が拠点にした村は小さいがホテルが存在し、露店が連なる通りはいつも村人で活気に溢れていた

しかしこの村には露店も無く村は静かで鳥の囀ずりが爽やかに響いている


彼が言うには所謂一軒の商店が村の全てを担っているらしい

つまり、この村でお店はその一軒の商店だけなのだ

舗装はされているもののコンクリートでは無い土の地面を二つの影が揺れる

キョロキョロと家並みを眺めながら歩いているだけなのに楽しい気持ちで胸が一杯だ


村は活気に溢れている様子は無いけれど寂れている訳でも決して無く、のどかな雰囲気が私には心地好いのだが



そんな風景の中を彼が歩けばやはり目立つ訳で……

艶やかな黒髪を靡かせて堂々と進む横顔をチラリと盗み見れば

決して周囲に溶け込まない圧倒的な存在感は異質以外の何物でもなかった


淡白で涼やか、それでいて気品溢れる美しい佇まいは外部の人間がそうそう居ない村では一層目を惹いたのだ


街中で人波の中にいても混ざらない彼なのだから当然なのだけど

こんなに目立っていて仕事に支障は無いのか………


かなり不安だが道の真ん中で口外する訳にもいかず
無言のままに歩いた先、お目当ての商店へとたどり着いた



「なんか、斬新ですね!」


「……まぁね。」



物珍しさに声を上げた私とは対照的に怪訝な表情を浮かべた彼の手を引く


村に一軒の商店


一体どんな場所だろうと想像を膨らませていた私だが、やはり想像とは違っていた



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