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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第153章 村の片隅で始まる



_________"


06月07日



09:17




後部座席の扉が開かれた音に目覚めれば眩しい朝日に影を落とした彼が此方を見下ろしていた




「おはよう、到着したよ。」


「……ん、おはようございます……」



サラリと靡いた漆黒の髪の隙間から夏の風が頬を撫でて誘われるまま見上げれば

腰を屈めて真っ直ぐに私へ手を差し伸べる彼と目が合って途端に胸が色めき始める


視線を逃がす様に反らせば屈んだ事でVネックの胸元から逞しい筋肉がチラリと見えてドキドキとまごついている内、その胸に力強く引っ張り起こされてしまった



「暫くここで過ごす事になる。」



なんて抑揚無く降る声に俯く私の頬と変わらない熱を帯びた風が吹いて彼が一歩引いた先

広がったのは標高高い山に囲まれた小さな村



「ほぉー!!素敵ですね!」



深緑の山々が雄大にそびえる麓に小ぢんまりと栄えた村はレンガ作りの家屋が可愛いのどかな場所だった


高いビルが無い分空が漠然と広く何だか開放的な気分になる



「先に沙夜子の荷物だけ上げるから行くよ。」


「は、はい!」



私の巨大リュックを軽々指に掛けた彼は私が親方のケージを抱き抱えたのを見届けるとクルリと背を向けて悠々と歩き出す


そして私は慎重に後を追いながらもワクワクと弾む胸に口角が上がりっぱなしだ


彼が歩み出した先に建っていたのは二階建てのアパートだったのだ


アパートと言っても流石は異世界、レンガ造りの洋館

アーチ状のレトロな木扉を潜り抜けるとステンドグラスが鮮やかな光を漏らす石造りの螺旋階段で

二階の廊下に掛けられた柵も日本のそれとは違う洒落たもの


三つ並んだ扉の最奥迄廊下を進んだ彼はファンタジーの世界にでも出てきそうな魔法の鍵の様な見た目の鍵でその一室の扉を開いた





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