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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第153章 村の片隅で始まる







すっかり空は青を深めて夏の気配が強くなった

真っ白な雲が流れてその姿が薄ぼんやりしている事に胸を撫で下ろすのは私がこの世界にやって来たのが大きな入道雲の眩しい日だったからだろう


私がこの世界に留まれる期間が残す所約一ヶ月に迫っているのだから夏は近い……





しかし私は今にも張り裂けそうに痛む胸を必死に抑えながらも車窓を流れる景色に慰められていた




都会的な拠点から新たな拠点への長距離移動

それだけ聞くと味気ないが実際には彼が運転する車に同乗するドライブデートと変わらない

とは言え私は積み荷の都合上後部座席で荷物に埋もれながら窓の外を眺めているのだが




「………私………今めっちゃ千尋感ありません……?」


「は?」



荷物に埋もれながらノスタルジックに外の景色を眺めていた私はふと千○千尋の神隠しを思い出したのだ


お別れに貰った花束とメッセージカードにノスタルジックだったあの子

状況は全く違うにせよ近付く期限に酷く苦しい気持ちを抱えながらも車に揺られる他無い私はどこか似ている気がしたのだが

彼にはピンと来ないらしく会話は短く途切れてしまった



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