ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第3章 彼を知る3ヶ月
「蜂蜜の瓶が開かんかってんけどイルミ君が……」
要するに力自慢の父や弟でも開く事の出来ない瓶は自然に彼に渡り
彼は事もあろうに瓶を破壊したのだ
それも豆腐や何かの柔らかい物でも潰すように容易く…………
その光景には一家全員が絶句したらしい
…………そうだろう………私もその場にいたならば絶句しているに違いない
「割れちゃった。」
なんて単調に言う彼に母は怪我を心配したそうだが
彼は無傷で後片付け迄キッチリやってのけたらしい
直ぐ隣で見ていた弟は「あれで無傷はおかしい」と思ったらしく背筋が凍ったと語った
そして極め付けにベランダを開いた時に飛び込んで来た蛾に向かって針を投げてしまったらしく
いよいよ彼の正体はバレたらしかった
弟が恐る恐る真実を聞けば彼は証拠にと顔中に針を刺しギタラクルの姿を披露したらしい
「……………そっか………」
「うん。俺ドライブ連れてってもらったりしたし」
「…………え!!!」
また新たな事実が発覚する
彼は私の知らない内に弟とかなり仲良くなっていた
「…………何してるんよイルミさん………教えといてよ………」
彼が居なくなってから私の知らない彼の話しを聞くなんて思ってもみなかった……
「………やから俺も寂しいなぁ」
なんてぼんやり呟いた弟の言葉に私は何も言えなかった