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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第152章 闇の横顔と試練の真実







……………だけど私はそんな彼を恐ろしいとは微塵も思わなかったのだ




「…………沙夜子」



思考を巡らせたまま固まっていた私の頭上に少し低い彼の声が降って見上げれば腰を屈めて覗き込む視線とぶつかった




「楽しみだね、アニマルショー」



大きな瞳は闇に染まり薄い笑みを浮かべた彼はクラクラと目眩がする程美しい顔を寄せて私の頬を撫でながらまるで全てを見透かす様に囁いた


バクバクと早い心音と粟立った肌


彼は私が真実に気付いていると確信した上で何も語らぬまま『全てを知っている』と教えた様に感じた

そしてその冷酷な笑みとは裏腹にポツリと落とされた嘘



「こんなの全てデタラメだよ……ね、沙夜子?」



まるで私の恐怖を黒く塗り潰す様に引き摺り込む瞳を前に私は小さく頷いていた


彼はそんな私にふっと笑みを落として再び歩み出す


長い髪が揺れて闇に溶ける背中


罪な程に美しい笑みを湛えた彼はまさに人を堕とす悪魔だ


底知れぬ闇へすら心地好く身を任せてしまう






……………だけど何よりも心底怖かったのはそんな彼の嘘を肯定し、恐怖の欠片も無く共に進み始めた自分自身だった






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