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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第152章 闇の横顔と試練の真実







「先を急ごう。」


「は、はい!」



繋がれた手は温かく無機質な彼にも体温があるのだと教え、それがとても心強く、不思議でもある


ぎゅっと握れば応える様に握り返す大きな手は何人の命を摘み取って来たのだろう………なんて考えている暇も無く私達は廊下に並ぶ新たな扉を潜れば

やはり嫌に埃っぽい部屋には脱ぎ散らかされた衣服がそのままベッドに残っていた


彼の言葉が頭を過って鼓動が早くなったのはそれが演出なのか本当なのか私にはいよいよ判断出来なくなっていたからだ


明日には片付けようとそのままになったチェック柄のパジャマはもしかしたら主亡き後ずっと袖を通す人も無く時間に置き去りにされているのでは…………


…………一体この屋敷で何が起きたのか……………


知りたい様でいて酷く恐ろしい



そんな中彼は二つ目の答えを見付けたと抑揚無く呟いた



「何人住まいか……の答えは13人だ。」


「…………13人………」


思いの外の大人数に言葉を繰り返せば彼は壁に掛けてあった写真を指差した


青年から老人まで如何にも一族らしき人々と燕尾服に身を包んだ人達が額縁の中色褪せて笑っていてゾッとする


直ぐ側のハンガーに掛けられた燕尾服が写真とそっくりそのまま同じだったのだ



「………イ……ルミさん………ほんまじゃないんですよね!作り物ですよね!」



震えた声で彼にすがり付く私に彼は普段と変わらぬ声色で「当たり前じゃん。」と言ったけれどその横顔から目が離せなかった


彼の唇が自傷的に歪んだ笑みを浮かべていたのだ





「さ、次は二階だよ。」



「………………」



私は彼を恐ろしいと感じた事が無い


彼を愛しているのは勿論だが


絶対的に私に危害を与える事は無いと確信があるからだ



何かがおかしいこの屋敷は不気味な人間の恐怖を伝えていて、それが実際に起きた事なのだろうと思い始めた矢先


先程の彼の発言や表情から犯人はきっと私の隣で手を握る彼なのだろうと思わせた




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