ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第152章 闇の横顔と試練の真実
長い廊下に響く雷鳴と彼の台詞に背中を伝った冷や汗
このお化け屋敷に以前も来た……と言うよりも家として機能している時に訪れた様な言い方に私は只彼を見詰める事しか出来なかった
全ては作り物だと言ったじゃないか
彼が本当に訪れていたのだとしたら……………
薄暗い廊下の窓が一際強い光に照らされて彼の姿がはっきりと浮かんだ一瞬
彼は続く廊下の先を酷く冷たい眼差しで見詰めていて
長い睫毛が僅かに伏せられて覗く瞳は漆黒を湛えてその横顔から冷酷な暗殺者の顔を思わせた
ゾッとする程美しい作り物の様な端正な顔立ちに表情は無く
記憶を手繰る様に悠々と瞬きをした後にそっと合わさった視線
こんな不気味な場所にいて何だが、彼の漂わせる異質なまでに静かな佇まいと人の気配の無い朽ち行く屋敷は同調する様に交わり
私の愛する彼は本当に人を殺める人物なのだと何故がありありと思い知らされた様で息を飲んだ
「まぁ、似たような場所は沢山あるし勘違いだろうけど。」
「………そっか、そうですよね」
良く慣れ親しんだ愛しい声が唇から紡がれ、彼の表情から冷たさが消えて私は心底安堵していた
彼が本当にこの場所に来た事があるのかも気になったけれど、それよりも彼が私の知る一人の男性に戻った事が何より私を安堵させたのだ