ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第151章 好奇心の先
「凄い人気ですね!」
「……………。」
人の声に埋もれない様に張り上げたのだが聞こえなかっただろうかとチラリと彼を盗み見れば
僅かに眉を潜めてじっと最前列の受付を見据えていた
………彼はセレブだ、人混みにも待つ事にも抵抗があるのだろう………なんて納得したのだが不意に肩に衝撃を受けて慌てて踏ん張った
どうやら人がぶつかったのだがここで違和感が込み上げる
この巨大テントには開演を待つ為のスペースが設けられているらしく混雑している受付エリアとは違って随分空いているのが見える
しかし先程肩にぶつかった人は最前列で受付をして貰ったにも関わらず随分と不機嫌そうにテントから出て行ったのだ
じっと受付を見ているとやたらと長い説明を受けている事やチケットを受け取らずに怒って出て行く人等なにやら不穏な空気に気が付いた
「…………あの………イルミさ「静かに。」
彼の横顔から視線を辿れば彼もまた怪訝な表情でじっと受付を見ていた
彼は待つ事に抵抗があるとかでは無く列に加わって直ぐ何等かの違和感を察知していたのだろうか
中間地点迄進んだ私達だが彼のいつもと違う様子に汗が浮かぶ
異世界はデンジャラスだ……私は今までの異世界ライフを思い返しながら彼の忠告通り唇を瞑った
一体彼が何に警戒しているのか、私には解らないが確かなのはこの会場で何かが起きているという事だった
すっと瞳を細めた彼の仕草に息を飲む
「漸く聞こえた。」
ポツリと呟いた彼をじっと見詰めれば、ふぅと息を吐き出した彼から警戒が消えた事を知る
強張っていた身体から汗が一粒落ちた時
彼はいつもの気だるげな声音を紡いだ
「どうやら相当危険なショーらしくて入場の時点で客を振り分けてるらしい……それなりの腕と度胸が無いとお断りってさ。」
「え?!」
あんな陽気なチラシを配っておいて………という驚きとこの距離で受付の声を拾った彼の耳の良さに唖然と目を見開く