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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第150章 本当の笑顔







銃声が嵐の様に鳴り響いてあたしは数十年ぶりに彼を待っている



武器も人員も昔の5倍以上



きっとイルミは強くなっているから





そよそよと森を抜ける風に火薬の匂い



出現させていたギロチンに首を乗せる



あの子の気配はもう間近



21時には程遠い時計の針に笑みが漏れる



………あたしが思っている以上に強く成長していたんだ……






一際強く吹いた風と共に影が落ちて見上げれば音も立てずに佇んだ彼は傷ひとつ無い綺麗な顔であたしを見下ろしていた



「見つけた。」



あの日のあの子と重なる姿



ギロチンの縄から手を離せば落ちる刃はイルミに一蹴されて彼方へと飛んだ



「………随分懐かしいけど何のつもり?」



不機嫌に歪んだ眉もあの日と変わらない



「うふふ、流石イル!強くなったじゃない!」


「…………。」


「もう!あたし引退するのよ?!最後に少し遊んだだけじゃない!」


「…………はぁ。」


「相変わらず無愛想な子!!」


「……………もう帰る。」


「ちょっと、最後なんだから挨拶くらいしなさいよ!」


「お疲れ。」



背中を向けた彼の姿を見上げて自然と浮かんだ笑み



小さく消えて行く素っ気ない背中を見送っている筈なのに



最後に胸に残ったのは只、誇らしい気持ちだった


一使用人が抱くには似つかわない本音


生意気で無愛想なあたしの可愛い子




「…………あたしだけのイルじゃ無くなったのね……」



ポツリと落ちた言葉は火薬の煙に乗って夜空に消えた




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