ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第149章 私がかける言葉
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18:07
今朝の彼女の様子が気掛かりで手早く数件の仕事を済ませてホテルへ戻ればフロントによく知る気配を感じて振り返る
わざと垂れ流された気配は自身を呼び止める為だ
「何か用?」
「お疲れさま、イル」
懐かしい呼び名
元教育係のこの人は何が目的なのか連日自身に接近する
再会したその日は警戒していたが元々長い付き合いもある上に相手の手法も知っている
故に別段不振な動きも無いと確認出来た後は特に気にも留めていなかった
しかし今日はこの数日とは明らかに何かが違うと解った
「あたし実は仕事引退するのよ……最後だし少し二人で話せない?」
「…………。」
先を歩く背中にすんなり着いて歩いたのはこの人の声から感じた有無を言わさぬ圧からだ
今の自身に然して脅威は無いもののこの顔をする時に幾ら拒否を示しても全くの無意味で時間だけが過ぎる事を知っている
この人は心底うんざりする程粘り強い人物だったと思い出したのだ
「イルは南の島好き?」
「別に。」
「もぉ~相変わらずぶっきらぼうね」
「……………。」
「ねぇイル、ブロッコリー食べられるようになった?」
「………それいつの話。」
「うふふ」
「………………。」
「さ、上がって」
「……………。」
部屋に到着して自身はやはり心底うんざりと溜息を付いていた
自身だけを先に入れてパタンと閉じた空間はホテルの一室では無い
真っ白で朧気なこの空間は昔何度も何度も見た懐かしい代物
【今から30分後出入口が開かれる、制限時間は21時。それ迄にあたしを見付け出さなければあたしは死ぬ。】
壁にでかでかと書かれた文章
………何故こんな面倒な事に
いや、そもそも始めに拒否しなかったのが間違いか
『ゲームを開始します』
響いた無機質な機械音声…………
………………これはあの人の能力"スーサイドゲーム"だ