ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第148章 宣戦布告
「ラ……ランさんでしたか……」
「あら?どうしたの?」
「いえ、あはは……」
緊張からの緩和で馬鹿みたいに汗を流しながら未だ大音量の心臓を押さえる私にランさんは大きな瞳を瞬かせた後にニッコリ笑った
「お茶しない?沙夜子ちゃんとゆっくり話したいと思って」
「そうでしたか!どうぞどうぞ!」
私は二人分の紅茶をダイニングテーブルに置いてランさんと向かい合う
だらだらと流れていたテレビを切れば音を無くした部屋には優雅なティータイムが訪れる
カチャリとカップを持ち上げたランさんは妖艶な唇を寄せて紅茶を飲んでいて、私はどうにもその所作に見惚れてしまっていた
長くウェーブがかったブロンドの髪、透き通る白い肌に宝石の様なグリーンの瞳……
美しい容姿は勿論なのだが何より纏う雰囲気や上品な所作は性別問わず人を魅了して思わず
「綺麗ですねぇ………」なんて漏らせばランさんはクスリと笑った
………何やら彷彿させる優雅な仕草にぼーっと見惚れてハッとする
ランさんの所作は彼とそっくりなのだ
カップを持ち上げる何気無い行動は嫌味無く人目を惹く美しさ
そう言えばランさんは彼の教育メイドだったと話していた
となればランさんが彼に似ているのでは無く彼がランさんに…………
私は何やら彼のルーツを垣間見た様な気がして不思議な感慨を感じた
「ランさんってイルミさんの教育係やったんですよね」
「えぇ、そうよ……今は全然違うお家で雇われてるけどね」
「イルミさんって凄い上品なんですよ。それがランさんそっくりで……」
「うふふ、あの子にはあたしの全てを教えたもの」
「へー!色々聞かせ「それで、沙夜子ちゃんに大切な話しがあるのだけど」
いつの間にか前のめりになっていた私に向けられた眼差しにゴクリと唾を飲み込む
少し低い声音から明らかに変わった雰囲気に私は無意識に背筋を伸ばした