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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第148章 宣戦布告







彼とランさんは古い知人


だけど手に触れる事はあっても唇や、まして彼に身を預けて大胆に抱き付くなんてそんな事があるだろうか


私が妻だと知りながら目の前で堂々と悪びれも無く………と内心悪態を付きながらも


ここは異世界だし私の世界よりスキンシップが激しいのだろうとは思う

現にヒソカさんとランさんは性別が違うだけでしている事にそう変わりは無い


そう頭で納得していてもそれとこれとは別物でモヤモヤとした嫉妬心が簡単に消える事は無い



彼に触らないで

何故何も言わないの?


簡単に名付けるなら独占欲だ


ぐちゃぐちゃの感情が私の胸を締め付けているけれど冷静な思考とせめぎあって身動きが取れずに唇を固く結べば




「沙夜子、どうしたの?」



彼は漸くそんな私に気が付いた様子で首を傾げた


いつもは敏感に私の気持ちを感じ取ってくれるのに

こんな時には何の変化も感じ取れないだなんて益々腹立たしい


これは男性特有の鈍感さだ

絶妙にイラッと来る感じだ


…………しかし私が怒り出すのは違う


懐かしい人、しかも私の危惧する関係では無い人と無邪気に戯れただけ


異世界のスキンシップは激しい


これはヒソカさんを振り返っても思う事なので多分間違いない


ランさんも彼も何も悪くない


私の理不尽な怒りや嫉妬は二人を困惑させてしまうだろう



「いえ、何も!」


精一杯の元気な声で笑って見せれば彼は「そう」と短く呟いて、すかさず遮る声に観察の視線を逸らした



「相変わらずコーヒーばっかり飲んでるの?たまには紅茶でも嗜みなさいよ」


「うるさい。」



ズキズキと痛む胸にお門違いだと言い聞かせながらも耳に入る穏やかな声色は私に向けられた物では無くて酷く落ち込む気持ちを必死に押し殺した





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