ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第147章 嵐吹き荒れる前の
……………わかっている、二人は私が心配する様なそんな関係では無い
その証拠に二人は打ち合わせる様な素振りも無く教育係と生徒の様な関係だと話した
彼は嘘が苦手な正直な人だしランさんを見ていても悪い人には見えなかった
昔から関係のある古い知り合いだ
自然と距離が近くなる事もある
………だけど私なんかより遥かに豊満な胸が彼の腕に……………
駄目だ……………彼の隣にいるランさんは私よりずっと美人でスタイルも良い
はっきりとした顔立ちに美しい金髪と悩ましいスタイル
彼と並べばその美貌はより一層輝いて私といるよりお似合いでズキリと痛む胸はお門違いにも程がある
ランさんは多分ヒソカさんタイプの元に持った物が妖艶な人なのだろう
所作の端々に見える色香は同性でもクラクラしそうで時折目線を逃がしてしまうのだから
「背も伸びたのね、男らしくなっちゃって」
「…………。」
ランさんの指先が彼の指をなぞって大きな手に触れる
「これなら女の子一人くらい守れるかしら?」
「うるさい。」
「本当、愛想の無い子ね……沙夜子ちゃん嫌になったりしない?!こんな偏屈な子」
「え!偏屈なんてそんな!」
私は自分で思うよりも随分と意地が悪いのかもしれない
自分を良く出来た人間だと思った事は無いけれど
明るい声色で話すランさんと笑顔で話しながらも嫉妬心を隠した後ろめたい気持ちを完全に消し去る事が出来ないまま時間は過ぎて
ランさんは「またね」と言い残して部屋を去り
私は何とも言えない気持ちで背中を見送った
これから起こる事を微塵も想像していなかったのだ