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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第146章 穏やかな午後







私はバクバクとうるさい心臓をそのままに自らの指を彼の口に突っ込んで奥歯に触れた



「………お………奥歯ガタガタ言わせたるで!!!」



「………………。」




多分私の顔は真っ赤だろう

照れ隠しに飛び出した可愛さの欠片も無い台詞を残して素早く指を引けば

彼は呆れ返る様な大きな溜息の後淡々と言を吐き出した


「さっきから何キャラ?悪質でも無いし本当に意味がわからない。」





…………………悪質………………



確かに奇っ怪ではあったが悪質と言われると疑問だ………




私は暫く無言のまま考えてはたと閃いた


彼に付けられた歯形


私の首筋には未だ数日前の痛々しい歯形が残っていて鈍く痛い

これは確実に故意だ

悪質と言われると彼の場合過激な愛情表現なので微妙だが彼自身は誰かに噛み付かれた事があるのだろうか………


もし噛み付かれた事が無いのなら尚更に十分な悪質行為と感じるかもしれない………


チラリと彼の姿を盗み見て首筋はやめておく事にする

めちゃくちゃ鍛えてるし筋肉隆々で全く歯が立たないかもしれないし、寧ろ私が負傷する恐れがある



そして私が目を付けたのは耳だった


耳なんて鍛え様が無い……!


きっと屈強な彼でも耳に噛み付かれれば痛い筈だ………!!





私は意を決して彼の耳に噛み付いた


今度は無告知のまま何の前触れも無く悪質に


少しは私の痛みを理解して欲しいという気持ちもある



しかし、現状は力の具合がイマイチわからず少し歯を立てているだけで何の仕返しにも……………なんて考えていた矢先





「………さっきから本気で怒らせる気無いでしょ……もしかして誘ってるの?」



妖しく響いた彼の声と同時に容易くソファーに組み敷かれて唖然とする



「口を開けて、なんて普通はキスする時の台詞だよ。」


いつの間にか色を孕んだ大きな瞳に捕らえられて言葉も出て来ぬままに耳元に寄せられた唇が普段より低く、そして甘く囁いた


「まぁ、沙夜子じゃなきゃ触れる前に殺ってるけど。」


熱っぽい吐息にゾクリと背筋を震わせる声



突然豹変した………………と思ったけれど

どうやら私が彼のスイッチを押してしまったらしい





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