ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第146章 穏やかな午後
ドキドキとワクワクで胸が騒がしく鳴り私が先ず手を伸ばしたのは瞼だった
瞬き出来ない様に瞼を指先で持ち上げる悪意溢れた行動
「どうですか、そんなに大きいんやから目が乾くでしょう!」
「…………俺仕事の時瞬きしないから平気。」
「そうなんや…………じ、じゃあ……」
次いで彼の耳穴に指を突っ込んでみたが微動だにせず手元のスマホを見詰めたまま淡々とした感想を呟いた
「怒るって言うか……鬱陶しい。」
耳の穴………人に触れられたくない場所だと思ったが無防備な場所に触れられるのは私にとってもかなりスペシャルな特権なのではないだろうか…………?
「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「それはうるさい。」
「あ、ごめんなさい」
怒りポイント検証とは別に興奮してしまい耳元で騒いだ私だが突然の奇声にも苛立った様子は無かった
最初はもしかしたら苛立っていたのかもしれないが騒音マシーンの私に順応してくれたのかもしれない
「じゃあ、お腹一杯の時にお腹パンチされたらどうですか?」
「怒らない、沙夜子の力なんて昆虫以下だし。」
「………………」
…………昆虫以下………………めちゃくちゃ馬鹿に……………いや、この世界にはヤバい昆虫がごまんと存在していると考えればぐうの音の出なかった
「うーん………イルミさん全然怒らないですね………」
「…………。」
「……………うーん………」
良い案が浮かばず視線を漂わせた先に見えた素足
私はソファーから降りると足元に座り込み暴挙に出る事にした
無言のまま素足を少し持ち上げて匂いを嗅いだのだ
どうだ………これは誰しもがされて嫌な事にランクインするだろう!!!
「どうですか!!!」
全くの無臭の彼の足を嗅ぎながらチラリと様子を伺って見れば突き刺さるゴミを見る様な眼差し
「シンプルに気持ち悪い。」
彼の声は酷く冷たく降り注ぎ私は瞬間何事も無かった様にソファーに戻っていた