ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第145章 手懐けた猛獣
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馬鹿みたいに騒がしい鼓動は全身に巡り
私は今の状況を全く理解出来ぬまま固まっていた
ニュース番組はやがて昼ドラへと切り替わり私は流れのまま真剣にサスペンスの犯人を考察していたのだが
不意に密着した身体
背中から回された腕はぎゅっと私を抱き寄せて
首筋に感じる規則的な呼吸
彼は突然寝転ぶ私にまるで添い寝する様に後ろから抱き締めたのだった
私の頭からサスペンスの犯人の考察は瞬時にぶっ飛んで軽いパニックに成る
……………………何故……………
単に寝転びたかったなら広いスペースが余りあるリビングでわざわざ密着なんてしないだろう
突然愛欲スイッチが入ったのかとも思ったが何もせず只ぎゅっと私を抱き締める行動に色っぽい感じは無く
私は身動ぎも忘れて只じっとしているのだが
バクバクと耳にも煩い心臓にみるみる上がる体温は全て彼にバレてしまっているだろう
私の首元に顔を埋めたまま静かに呼吸を繰り返す彼の気配を熱い程に感じながら固まっていると
「………沙夜子は良い匂いだね」
彼はくぐもった声を漏らした
何処か気が抜けてぼんやりとした声色に一際跳ねた心音
……………もしかして甘えられている……?!?!?!