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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第145章 手懐けた猛獣







暫く固まったまま何も出来ずに全く内容のわからないテレビを眺める


この時私は画面に写っているのが人間なのかゴリラなのかすらもわからないくらいに只固まっていて


深い深呼吸を繰り返した後にチラリと彼の様子を伺った




…………異常無し……………




彼は特に何も言わずにされるがままニュースを見ている


彼にとって手を繋ぐ事等なんともないのかもしれない


私は次いで彼の膝に頭を預けて自身の口元に彼の手を持ってきた



私にしてみれば大胆極まりない!!!!!!


心臓は今にも爆発しそうに煩いが彼の先程の反応から多少問題無いだろうと思ったのだ


長い指をなぞって息を吸い込めば彼の香りが鼻を抜けてドキドキする


冷静に考えてやっている事は変態的だが夫婦関係なのだから俄然問題にはならない



私は馬鹿みたいにニヤニヤしていただろう

力の抜けた彼の手に頬擦りしたり長い指へ控え目に唇を寄せてみたり

頭の中は彼一色で胸の中は幸福に満ちていた


私が彼に積極的に甘えていたのは時間にすればほんの数分の事だが

彼を間近に感じ、温もりを感じられただけで満足感に満たされて

上機嫌に鼻歌を歌いながらキッチンに立ち、彼と色ちがいのマグカップに紅茶を注いだ




チラリと一瞬交わる視線にカッと熱くなる頬


私はソファーの端に小さく腰をおろしてテレビをガン見した


今のタイミングで先程の行動は何だ?なんて指摘されては恥ずかし過ぎる……………



彼は私が甘えた所で全く何を考えているかわからない無表情だったけれど

無表情なだけで決して何も考えていない訳じゃない

未だ横顔に刺さる真っ直ぐな眼差しにタラリと背中を伝った汗


私は同じソファーにいる事もままならずフカフカの絨毯にゴロリと転がって彼に背中を向ける事にした

こうすれば真っ赤な顔は見えないし彼からしてみれば私はテレビに夢中な雰囲気に見える筈だ……


枕代わりに肌触りの良いクッションを丸めて体温を下げる様に意識をニュース番組へと集中すれば


私の好奇心を擽る『100年前の沈没飛行船発見』というニュースが取り上げられ、気が付く頃には本当に夢中になってテレビを見ていた





「ひぇー………凄いですね……貝が引っ付いてる!」


「………そこ?」




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