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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第145章 手懐けた猛獣



__________"



彼が帰宅して二時間が過ぎて私は身体中に心音を響かせていた


彼はお土産の説明を終えた後、情報収集をしているのかニュースを眺めたままソファーで微動だにせずコーヒーを飲んでいる


彼からしてみればただ座ってテレビを見ているだけの些細な姿


しかし私からしてみれば気が抜けた様に細められた黒い瞳、長い睫毛、高い鼻筋、そして薄い唇


その横顔は麗しく、緩くソファーに落ちた大きな手や気だるく組まれた長い脚すらも全てが神々しく見える


そんな彼が隣に存在しいるだけでわかりやすく高鳴る胸


しかし私の乙女心は贅沢な事にそれ以上を望んでいた



…………………ちょっと甘えたい…………



私の左手薬指に輝く指輪は彼から贈られたもので誰が何を言おうと私達は夫婦だ

だけど、私の想いは薄れる所か日に日に燃え上がり未だお付き合いしたての様な錯覚をする


私は未だ彼へ触れる事すらも極度の緊張でままならずスムーズな甘え方すらも体得出来ていないのだ





彼を只見詰め続けてどれだけ経ったのか


いつもなら何?なんて聞いて来そうな彼は一切のアクションを起こさずテレビ画面を見詰めたまま



動物園の動物達が見られる事に慣れている様に

彼は最早私の視線に慣れ切っている



私は自分に言い聞かせる事にした


(大丈夫………ぎゅーが出来るなら全然大丈夫………)


散々照れておきながら自ら抱き付く事が出来ているのだから何を臆する事があるだろうか


ここはひとつ彼の胸をかりるつもりで……………


いや、そもそも彼は私の旦那様なのだから………………



(きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!)



私は散々脳内で荒ぶりながらも彼に甘えてみる事にした


とは言え色々とハードルが高いので先ずは手を繋ぐ事にする


これなら外出先で人前でもしている事だし比較的…………




ドキドキと騒がしい胸


私は勇気を振り絞りそっと彼の手に触れてぎゅっと指を絡めた


少し冷たい彼の指先と恥ずかしさから極度に高い私の体温が心地好く混ざる中

チラリと横目に私を見遣った彼の視線に私は指先まで脈打つ鼓動を感じた



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