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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第145章 手懐けた猛獣






お土産よりも彼の気持ちが本当に嬉しかった

あの短い通話を通して彼は私の事を考え想ってくれていて

そして何より無事に帰って来てくれた事が何より嬉しい


荷物が無い分先程よりぎゅっと密着した身体


彼はやはり変わらずクールで

優しく抱き締め返して等くれないけれど代わりに私が離れるその時まで無理に引き離す事はしなかった



暫くして私の照れ度がMAXになりおずおずと離れると

紙袋から次々顔を出す室内用娯楽品を彼は単調に説明した



「コミックと小説とパズル、塗り絵に各種着色できる文房具と画用紙、あとゲームね。」


真っ黒の瞳がじっと私の様子を伺う

憶測に過ぎないが彼は私の反応よりも顔色を伺っているのだろう

相変わらず閉鎖的なチョイスの数々は意図的なまでに選ばれたもので

それに私が難色を示すか否か彼は未だ私の様子を伺っているのだ


その執拗なまでの執着や歪んだ猟奇性に彼自身が自覚を持っているのかはわからないが

私が逃げ出したり怯える素振りを見せないかここまで来ても確認する慎重で繊細な彼に私は笑顔を浮かべた



私はどこにも行かない

行く訳がない

私は貴方さえ傍にいれば幸せなのだ


いつか彼が確認なんてせずにそれを実感してくれたら………なんて願いを込めて満面の笑みで伝えたお礼の言葉に


「どういたしまして」なんてぶっきらぼうに余裕な声を響かせるものだから

そのギャップにニヤニヤとして密やかに身悶えたのだった




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