ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第145章 手懐けた猛獣
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翌日
「お疲れ様です!」
『……お疲れ』
『変わり無い?』
「はい!……あ、桜枯れてしまいました……」
『捨てな。』
「ふふ……言うと思いました」
『…………今日は随分元気だね』
「あ、わかります?私イルミさんを待つ幸せに目覚めましてね」
『……………。』
「お仕事頑張ってくださいね!」
『……いつ帰るのか聞かないの?』
「だって聞いても教えてくれないじゃないですか、それやったら頑張ってと『ふーん。』
ガチャリと開いた玄関扉
スマホ越しに聞こえた『ただいま』
彼は両手一杯に紙袋を下げて帰宅した
「えぇっ……お帰りなさい!!!」
ソファーにだらしなく寝転んでいた私は瞬間彼目掛けて走っていた
……………彼が帰って来た………!!!
途端に身体中に溢れる喜びをそのままに彼に抱き付けば
彼は微動だにせずそれを受け止めてクスリと笑った
「待つ幸せに目覚めたならもう少し留守にしても平気だったかな」
「そんなん嘘ですよ!!」
ぎゅっと抱き締めれば鼻を擽る彼の香りに顔を埋めて心底彼の帰宅を噛み締める
「…………お帰りなさい」
「ただいま。」
トントンと背中を叩かれて名残惜しく離れれば彼の印象的な瞳が真っ直ぐに注がれ
「何も無くて暇だって言ってたから色々買ってきたよ。」
彼は忙しい仕事の合間に話した一言を覚えてくれていたらしい
両手一杯に下がった紙袋はいつ見てもどうやって持ち運んでいたのかわからない山を作って床に広がり
「沙夜子にお土産。」
スマホから聞こえるのと変わらない単調な言葉に私はもう一度彼に抱き付いた
「ありがとうございます……イルミさん大好き」