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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第145章 手懐けた猛獣




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夜に成ると幻想的に輝く庭は昼間見ればアリスがお茶会でも開きそうなヨーロッパ風の洒落た雰囲気に成る


しかし彼への想いを凌駕出来る筈も無く



「あ~…………………イルミさぁ~ん…………ふわふわぁ~……」



親方を手のひらに乗せて頬ずりしながら無意味に彼の名を呼ぶのが最近の日課だ


今までなら寂しくて泣いてしまっても何かを見付けてそれなりに楽しむ事が出来たけれど

彼と長く一緒に過ごせた夢の様な時間は私を廃人にしていた



しかし、このままでは良く無い事はわかっている

通話中も以前より明らかに暗い声色

自分の感情には疎いのに私の変化を察知する彼が気付いていないとは思えないし

長期休暇から久々のお仕事で疲れている所に気苦労まで掛けられない





「今日は天気が良いねぇー親方」



私はケージに戻した親方をじっと見詰めながら明るい声色で話す練習を始めた

考えて見れば私は欲望に素直過ぎて声にまで感情がただ漏れな気がする

それは普通に大人としてマズイ


せめて彼と通話中のほんの数分くらい取り繕えなければ……


私はその日久しぶりに沢山喋った


喋ったとはすなわち一人言だが声を出すのは人間にとって気分転換になるらしい


途中やって来たメイドさんには確実に頭がおかしいと思われたかもしれないが


何だか胸の切なさは少し柔らいだ様に思う


よし、この調子だ…………!!!





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