ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第145章 手懐けた猛獣
必ず入る電話で安否を確認出来る数分だけが彼を感じる瞬間で
『沙夜子、ホテルの外には出て無いね?』
「はい!ちゃんと約束守ってます!イルミさんは怪我無いですか?」
『平気、何か変わりは?』
「何も無さすぎて暇です!」
『そう。』
「……………どれくらいで帰りますか?」
『それは答えられない。』
「…………私待ってますからね……!」
『……何か変化を感じれば報告する事、きちんと食事を取る事、施設外への外出禁止、他人との会話も一切禁止だからね。』
「………昨日も聞きました……ねぇイルミさ『悪い、また明日掛ける。』
「………………」
…………ずっと一緒に過ごしていた反動は凄まじい………
通話が切れた後毎回胸が裂けてしまいそうに寂しくなって涙を流してしまう
彼が傍に居ない事は私を酷く悲しくさせて、一人で過ごすと成ると広すぎる部屋は私に膨大な孤独感を与えた
……………仕方がない
休暇を取り、旅行へ連れ出してくれた事事態が凄い事で
優しい彼と過ごした幸せの分彼を待つ事に成るのは当たり前の事だ
彼だけがでは無く一般的な家庭でもそれは例外では無い
自分に言い聞かせながらテーブルを見詰める
彼から貰った桜はすっかり枯れて花弁を落とし寂しく花瓶に刺さったまま
私は部屋から出る事も無く永遠を感じる程の悠長な時間を一人で過ごしているのだ