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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第145章 手懐けた猛獣





05月04日



私達が人生の一大イベントである新婚旅行を終えてから早くも一週間の時間が経ってしまった


豪華客船で行く世界旅行の期間は約一ヶ月もあった筈なのに楽しい時間というのは本当にあっという間に過ぎて行く



港に降り立ったあの日、私は濃密に増えた思い出を胸に抱きながら何度も何度も船を振り返った


あの船を発見した時は胸が高鳴って仕方なかったのに背中を向けてしまえば寂しさばかりに後ろ髪を引かれた



…………もう一度時間が巻き戻らないだろうか…………



なんて未だしんみりしてしまうのも久々に一人きりでホテルに閉じ籠っているからだろう



一人力無くソファーに沈んで振り返る記憶



船を降りた後もまだまだ余韻を残す私とは違い彼には仕事が待っていた


鋭く辺りを観察する瞳で周囲を警戒し始めたのは船を降りてたった一歩目

ぼんやりしている様でいて隙の無い彼の横顔に息を潜めていた暗殺者のスイッチがオンに成ったのが解った



だからと言って纏っている雰囲気や言動に変化が見られる訳では無いけれど
事も無さ気に車を盗難する彼の姿は私を日常に引き戻す様だった



………………盗難現場を目撃して日常を感じるなんて私はアウトローな世界に片足を突っ込んでいるかもしれないが

旅行中は特に彼の犯罪行為を見なかった(必要無かったのだろうけど)故に染々と旅行の終わり、そして日常の始まりを感じさせたのだ


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