ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第144章 涙と私達
「…………そんな………枯れちゃうじゃないですか…………」
………………私達自身の未来が不透明なのだから桜にくらい永遠を求めたって良いじゃないか…………
絶対形を変えない何かを残したって良いじゃないか…………
またユラユラ歪んだ視界で彼を睨み付ければ気だるげに髪をかき上げた後
「そんなの無くたってまた二人で見られるでしょ。」
彼は余裕たっぷりに笑みを浮かべた
……………また二人で……………見られるのだろうか
私の胸の悲しみを溶かす様に優しく抱き締める彼の温もり
明確な事は言ってくれないけれど
別れなんて無い
怖がる事は無いのだと言い聞かせる様に私を包む大好きな腕に頬を寄せる
彼は私との未来を見てくれているのだと伝えてくれたのだ
……………それだけでどれだけ救われるだろう………………
永遠を取り払った桜は枯れてしまうけど
枯れてしまったってまた見られるのだと希望を見せる様に咲く花に泣き虫な私の涙がポタリポタリと落ちる
「…………沙夜子はよく泣くね」
「だって……こんな"ん………」
言葉にならず只流れる涙を彼の長い指がすくいあげて交わる視線
「今夜は花火が上がるらしいから部屋のテラスでディナーにしたいんだけど」
「ぅう"~っ………イルミさん大好き…………」
彼のシャツを涙でぐちゃぐちゃに濡らしながら想いを伝えた私に
「知ってる」
彼は優しい声色でクスリと笑った