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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第144章 涙と私達








振り返らぬ様にしては時々立ち止まって来たけれど

今日程不安で苦しい日は無かった様に思う




もし私がこの世界に生まれていたなら

もし彼が私の世界に生まれていたなら


私達もあの二人の様に祝福されていただろうか



………そんなどうしようも無い事なんて今まで考えた事なんて無かったのに………



私の家族も彼の家族も喜んでいて

私達の新居があって

家具は何を飾ろうかとか他愛ない毎日を送って

子供が出来て家族が増えたりだとか



その内また二人に戻って年老いても隣に………







ポタポタと無意識に落ちた涙が日記を濡らして唇を噛み締める




望めない事はわかっていて今の状況も奇跡みたいなものなのに




浮かんでは消えて行く想像が悲しくて苦しくて

迫る期限が怖くてどうしようも無い






平穏な未来すら何も見えない



当たり前の事も叶わない



彼に出会えた事、彼に気持ちが届いた事、彼も私を愛してくれた事、彼が私を選んでくれた事


全てが幸福で仕方がないのにどうして下ばかり向いてしまうのだろう




自分は愚かだと責めてみたって彼を失う恐怖には敵わなくて




声を殺して涙を流しているとふと気配を感じて俯く






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