ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第143章 オーロラ夜空と彼とお話
だけど今泣いてしまうのも何だか違う気がして必死に耐えながらも
「ち、違うんです!!私はイルミさんが落ち込んだりした時絶対に私が傍にいて、何出来るかわからんけど支えたいんです!!」
涙声に成らぬ様に張り上げた声を消す様に被せられた彼の声
「嘘だよ。………支えるとか俺にはよくわからないけど何と無く伝えたい事は理解出来た。」
涙目で彼を見上げれば優しく頬を撫でる冷たい指先
ありがとう、だとか、俺も支えるよ、なんてお世辞染みた事を言わず
何となく理解出来たと正直に言ってしまう辺りが本当に彼らしくてぎゅっと彼に抱き付けば
温かい体温を知った身体が寒い外気にブルリと震えた
「…………イルミさんもう戻りましょう………寒いです………」
しかし、私の背中を優しく撫でながら「うーん」と呟いた彼は
「実はオーロラが出る魔法があるんだけど試してみる?」
なんて淡々と言った
……………魔法……………
突然彼が発したメルヘンな単語に私がどんな顔をしていたのかはわからない、しかし
「カウントが終わったらオーロラが出るからまぁ見ていて」
なんて言いながら夜空を見上げた彼につられて空を見上げる
「行くよ、……3……2……1」
淡々と数えられたカウントの最後にパチンと指が鳴らされたその時
私は全身の鳥肌が立っていた
極寒の星空にユラユラと輝いたのは間違い無く私達が待ちに待っていたオーロラの姿だったのだ
「うそでしょ……!!凄い!!イルミさん凄いです!!!」
馬鹿みたいに跳ねながらも漏れる歓声
赤や緑、青に黄と色彩豊かに色を変える様は今まで見た何にも例え難い神秘的な光景で
先程迄とは違う理由でじわりと浮かんだ涙はオーロラの美しさに湧く感動からだ
「……めっちゃ綺麗……ねぇイルミさんどうやったんですか?」
なんて彼を見上げて見れば
「どうって……まぐれだよ……。」
彼自身も驚いた様に大きな目をクリクリに見開いている姿に笑ってしまった
ユラユラ揺れる神秘的な光のカーテンはその後20分程消えずに夜空を彩り
私達はその光景を胸に焼き付ける様にいつまでも夜空を見上げていたのだった