ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第143章 オーロラ夜空と彼とお話
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ガタガタと震える着膨れした身体は只彼の輝く瞳だけを糧に其所に立っていた
彼とオーロラを探し始めて早二時間
最早ホットワインをいくら追加注文したって温まらない体内
先程から数回オーロラを見付けた幻覚を見ている目を抉じ開けてとにかく祈っていた
(…………オーロラ出ろオーロラ出ろオーロラ出ろオーロラ出ろオーロラ出ろオーロラ出ろオーロラ出ろッ!!!!!!!)
チラリと麗しの横顔を盗み見れば鼻のてっぺんを赤く染めた彼は静かに夜空を見上げていて
それだけで心奪われる私は悔しい事に………リタイア出来ないのだ……
勿論私もオーロラを見てみたいと思っているからこそ粘れるのだけど
もうここまで来たのだからとことん付き合うつもりで、何か他に気を紛らわした方が寒さも紛れるかもと口を開く
「イルミさん……何か面白い話してください」
言わずとも無茶振りに他ならない
しかしせっかく二人で夜空を見上げているのだから彼に構って貰いたくて発した言葉に
彼はチラリと視線を流すとおもむろに唇を開いた
「……ハムスターより戦闘力が無い人物の話なんだけど。」
「ハムスター……?!それ人間の話ですか?!」
客室内の親方のケージを振り返りながらそんな人間が存在するものかと考える
「うん、その人物はハムスターより弱いんだ。弱点は昆虫と怪奇現象……あと空腹。」
「………それは皆怖いでしょうけど……空腹……?」
「いつも精神状態が不安定でね、泣いていたと思えば突然聞いた事も無い歌を歌い出したり人が変わった様に笑い出したりするんだ。」
「………え、ちょっとその人……危ないん違います……?何か……頭の方が……」
ハムスターより弱い時点でヤバい人物が知れば知る程ヤバい………