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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第143章 オーロラ夜空と彼とお話






しかしもっと良いものとは一体何だろうか

本格的なバレエやオペラが始まるのかとワクワクしていた先程とは違う意味で少しドキドキしてしまう


特に口数が少ない訳では無く、通常通り多くを語らない彼は遂にその正体を明かさぬまま部屋の扉を開くと

何故か無言のまま昼間着ていたコートを差し出した



「……えっと……」



私の脳裏に浮かぶトト○のカンタ君


カンタ君が傘を差し出した様にコートを差し出されているのだから用途は明白で


………着ろと言う事なのだろうけど


彼はまるであのシーンを再現する様に只無言でコートを押し付けて来るのだ



彼を見上げて緩くコートを受け取り無言の数秒



ポカンとしている私に痺れを切らしたのか



「バルコニーからオーロラを見る。」



単調な声を響かせた


彼はどうやら時間を気にして腕時計を見ていたらしく説明が皆無だった事に漸く気付いたのだろう

焦っている様子は一切見えないけれど


「大体22時頃から観測出来るらしい、まだ外は流氷の海だから十分に観測出来る可能性があるし、酒でも飲みながら……と思って。」


補足を続けた彼はチラリと私の様子を伺う様な眼差しを向けた


心配ご無用である


私の思考は彼の発したオーロラと言うワードで既に一杯に成っていた


多分其れが一目で見て取れたのだろう


彼は私を気に留める素振りを瞬時に消してホットワインを注文する等のオーロラ観測への準備を始め

私はそんな彼の背中を眺めながらソワソワと待っていた




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