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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第143章 オーロラ夜空と彼とお話







再びオーケストラに視線を向けた横顔はどこか穏やかに耳を傾けながら口元を僅かに緩めて



「昔親父と出たパーティーでこの曲が永遠に繰り返し演奏されていてうるさかった筈だけど、今聞いてみると案外静かな曲だったみたい。」


なんて言うものだから私は熱い目頭を隠す様に頷いて演奏に耳を傾けた




彼は確信的な事を話した訳では無い

きっと全てを言葉に出来る程自分自身の感情を把握出来ていないのかもしれない

彼は其れほど迄に自分の感情に鈍感な人だ


だけど彼が不思議に思った原因に私という存在が関わっている事は確かで

彼自身の世界が初めて出会ったあの日から少しずつ少しずつ色付いているのだと思えば胸が熱く成る


彼が今抱いている感情が何なのか正確には私にもわからないけれど

確かに言える事は彼の心が少しずつ成長しているという事だった




暗殺者として彼が邪魔だと思っていた心が色付いてしまってはこの先、葛藤が生まれてしまうのでは……なんて思ったけれど



「綺麗な曲ですね」


「………うるさくは無いけど退屈な曲だよ。」



なんて先程の穏やかさを何処にやったのかうんざりと髪をかき上げた彼にそれは要らぬ心配だろう


色付いたからと言って特殊な世界で生まれ育った彼の本質や根底は変わらない訳で


人の命を摘み取る事に躊躇や戸惑いを彼が持ち合わせる事はきっと一生無いのだろうと思えば


深く安堵している自分に気が付いて何とも言えない複雑な気分に成った



………人を殺める人物を心配するなんて常識はずれにも程がある


だけど、彼を想い慕う私はもうずっと前から善良な庶民なんかでは無くて





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