ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第143章 オーロラ夜空と彼とお話
オペラハウスのディナー会場は大勢の人々が優雅に食事を楽しんでいて思いの外混み合っているのだが
私達はそんな地上階の雑踏を遠く見下ろす半個室と成った最上階に案内されていた
彼が言うにはオペラ観賞等の際は地上階の中央が良い席だとされているそうだが、食事なら此方の方がゆっくり出来るだろう、と先程とはうって変わり満更でも無さそうな雰囲気に内心ニヤニヤしつつも
薄暗い照明とは相反して賑やかな雑踏にワクワクと跳ねる胸
ドレスの予備を持って来ていて本当に良かったと思う
彼が旅行前に何かあった時、手元に無いと不便だとバッグに余分な正装を詰め込んでいた時は何も考えていなかったけれど
高貴な世界に生きているとこういった類いのサプライズで社交的な場に急遽出向くなんて事も然程珍しい事では無いのかもしれない
もしくは彼がとても準備が良い人だからか
…………どちらにしても彼に感謝だ
完全に出番は無いだろうと思っていたダークブルーのドレスは七分丈のスカートが腰からフワリと広がり、前から見ると後ろの方が丈の長い仕様になっていて大人びた色味ながら背伸びし過ぎないキュートなデザインで
パーティーの時に着ていたドレスとは全く違った艶やかさがあった
やはり私も女性なので綺麗にドレスアップ出来るだけで十二分に嬉しいのだけれど
彼がこの可愛いらしいドレスを選んでくれたと言う事実は私をドキドキさせて
購入の際、私に似合うだろうか……なんて、無表情な彼の頭の中に私の存在があったのだと思えば嬉しくて仕方がない
そしてそのドレスに身を包んでいる今、私はまさに彼の特別な愛に包み込まれている様な気分に成った
チラリと彼を見詰めてみれば気だるげに漂っていた視線が交わってみるみる体温が上がる身体
愛しい彼の涼やかな瞳に私は一体どう映っているのだろうか……なんて思えば妄想がみるみる膨らんで
(……………………似合うぜマイハニー……想像以上のキュートさだYO…………とか思ってたりして…………)
妄想と現実の狭間で私の脳内イルミさんが囁けば途端に堪えきれずニヤニヤしてしまう