ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第143章 オーロラ夜空と彼とお話
きっと私達がもう一度この国を訪れる事は難しいけれど、彼女はこの写真と変わらず何百年先も其所に居て
もしもう一度見られたらその時はまた花を手向けたいなぁ……なんて感慨に浸った一瞬
「俺あの時も楽しかったよ、沙夜子が震えた時。」
「………………っ……………やめて…………」
彼は全てをぶち壊す様に私の恥ずかしエピソードを口にした
私自身忘れ去りたい奇っ怪な思い出なのにわざわざ思い出させる様に言う彼は意地悪だ
今思い返しても赤っ恥な出来事をありありと思い出し、少々ふて腐れながら彼をじっとり見詰めれば
「沙夜子は何仕出かすかわからないから見ていて飽きないよ。」
なんてクスリと笑われてしまい
失敗エピソードに熱を持ち始めていた頬は彼へのドキドキに一瞬にして真っ赤に染められてしまった
特に甘い台詞だった訳では無いけれど
私と一緒にいると楽しいと言われた気がして
忘れ去りたい程の醜態話を持ち出しておきながら怒るに怒れなくするなんて彼は本当にズルい人だ
彼の少しイタズラな笑顔を前にみるみる苦言は消え去って口をついたのは本心
「…………イルミさんはズルい人ですね……」
そんな私をチラリと横目に映した後に至極余裕な口振りで
「そうだよ。」
なんて言った彼は大きな瞳を細めて小悪魔的な眼差しで私を悩殺したのだった