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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第143章 オーロラ夜空と彼とお話






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私達はクリンアイスを後にした


沢山の歴史と夢の様な幻想的な町並みや風景は私達の思い出とスマホのアルバムに残って

ガリガリと音を響かせながら流氷の海を進む船のテラスで私は遠退いて行く氷の国をずっと見ていた



国自体が見える訳では無いけれど白い大地に堂々とそびえる巨大な氷はクリンアイスに違いなく


上陸した数日前の胸の高鳴りをつい先程の事の様に思い出しては名残惜しさと切なさに溜息ばかりを吐き出している




「……風邪引くよ。」



真っ白なコートをそのままに一目散にテラスへ出た私とは裏腹に淡々と荷物の整理をしていた彼は実に淡白な声を響かせた




「まだパドキア迄数日掛かるし、体調崩してる場合じゃないでしょ。」




叱ると言うより言い聞かせる様な間の抜けた声に振り返れば彼はコートも羽織らずに小さくなって行く雪の大地を見ていた


真っ黒な瞳にキラキラと輝く銀世界を閉じ込めた彼の素顔に

彼もまた旅が終わる気配を名残惜しく感じているのでは……なんて思えば

しんみりしているより楽しい思い出を彼と語った方が今がまた楽しい時間になるんじゃないかと思えて



「………イルミさん何処が一番楽しかったですか?!」



途端に明るく弾んだ私の声に視線が交わり無表情な彼の眉間に少しシワが寄る



「………え、ここで話すの?」



暖かい暖房の効いた部屋が目の前にあるのに……なんて思い切り顔に書いている彼に思わず笑いながら


「せっかくやからクリンアイスの風を浴びながら~♪」


ご機嫌に彼を誘い出してみれば彼は溜息を漏らした後にコートを羽織ってテラスへとやって来た



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