• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第142章 永遠を刻む氷







皆より一回り大きな身体と鋭い眼差しから勝手に男の子だと思っていた私は間抜けに口を開いていた





スリスリと可愛らしく寄って来てくれる狼達は皆男の子で

媚は売らないにしても彼から離れないハンクは女の子だったのだ




私は心底感心していた




動物的本能なのか何なのかは知らないが確実に言える事…………



………………ハンクはお目が高い………………




別に撫でる事も無く立っている彼の傍に伏せながらチラリと彼を見上げるハンクの眼差しが先程とは違い完全に乙女に見える


滅茶苦茶ワイルドな見た目だがハンクは彼にメロメロで今も内心ときめいているのかもしれない…………



そう思えば沸々と湧いた感情はジェラシーと似ていて


私は相手が狼だということも忘れて彼の腕に抱き付いていた



「ハンク駄目………!イルミさんは私のやから!」



何を言っているのだろうとは自分でも思ったけれど結構本気な私にハンクは小さな唸り声を上げた



…………………ハンク…………やっぱり…………!


立派な牙を見せたハンクは恋する乙女だ


しかし私だって彼が大好きだ

ハンクにも誰にも負けないくらいに彼を愛しているし

彼への想いを語らせるなら時間がいくらあったって足りないだろう


しかしハンクも全く退く姿勢を見せずに私を睨んでいて私達の間には火花がバチバチと散っていた



絶対に負けられない戦いがここにある…………ッ







息巻く私とハンクが睨み合っていたのは時間にしてどれくらいだろうか


…………多分数秒程度だが




「下らない………行くよ。」




されるがままでいた彼は溜息を付いて歩き出してしまい


私は速攻で我にかえり飼育員さんの見事な見て見ぬフリに恥ずかしさで泣きそうになった


考えずとも言える事は私は確実に不審者で変な奴だったと言う事と



「ハ……ハンク……ごめんな……」


「…………ガルルルルル」



ハンクには滅茶苦茶嫌われていると言う事だった





/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp