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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第141章 小さな伝説と溶ける幸せ







私もつられて立ち止まり彼の視線の先を追って見れば

横幅に10mはありそうな大木がカラフルに飾り立てられているのが見えて思わず間抜けな声が漏れる



「うぉー……何でしょ……?」



一際飾り立てられているというのもそうだが、辺りの木々よりも随分と立派な上、大木を囲む様にドールハウスの様に小さな家がぐるりと周りを囲う様子は不思議だったのだ

凍った葉を付けた大木は雪を積もらせながらも何処か優しい雰囲気で

自然と近付く内に彼はポツリと言を発した



「……………コロボックル伝説の木だって」


「コロボックル?」


「小人らしいよ。」


「……え!!小人が住んでるんですか?!」


「馬鹿じゃないの。そこの看板読みなよ。」



異世界には小人すらも平然と存在するのかと小さな小屋を凝視していた私だがどうやらそうでは無いらしく

彼が視線で促した看板にはコロボックルと呼ばれる小人の伝説と、小人を見られた人は運命の人と幸せになれるという事が書かれていた



「そう言えば北海道にもいてますよね!コロボックル!」


「そうだっけ?」


何処かで聞いた事のある言葉から記憶を掘り返した私は

彼との永久の幸せを願って木の周りをぐるりと周回してみたけれど小人は現れず



「………簡単には出て来てくれないですよね………」


伝説なのだから簡単に見られるなんて思っていないけど肩を落としつつも振り返って見れば

先程まで腕組みして仁王立ちだった彼の姿が消えていた



「……………あれ?…………イルミさ……………」



視線を漂わせれば視界の端に姿を捉えた彼は大きな瞳を一層見開いたまま小さな小屋を見詰めていた



「……………どうされました?」



私の呼び掛けにもまんじりとも動かずに小屋を凝視する黒い瞳



「沙夜子、小人って本当にいたんだね。」



彼は淡々といつもの声色で言った




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