ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第141章 小さな伝説と溶ける幸せ
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その後私はグラスブルーの美しさに正気を取り戻し散々眺めては写真に収め
彼は黒い瞳に景色を写しながらその手で触れて「冷たい」とポツリと漏らしただけだったけれどその横顔はどこか楽しそうに見えた
そして今私達は昼食を取る為にクリンアイスから少し離れた場所に位置するホワイトラッシュという村にやって来ている
面白い事にこの村の周辺には木々が根を生やし繁っていて
葉に雪を積もらせた姿はまた今まで見て来た雪国とは違った魅力を見せていた
まん丸の太い丸太を組み立てたログハウスの家屋に可愛い三角の木の柵、暖かい色をしたステンドグラス等が窓の彼方此方に施され
まるでおとぎ話に登場する様なのどかで可愛い村の景色にワクワクと弾む胸
時季的に言えばそうでは無いのだけど、まるで村中がクリスマスを祝う様に些細に飾り立てられていて小ぢんまりとしていながらもその雰囲気は賑やかなものだ
そんな中私達が案内されたのは一際目立つ大木の上
目的のレストランは大木を軸に建てられたツリーハウスだった
「伝統の料理をお楽しみください」
と言い残したガイドさんは彼に怯えていた事等微塵も感じさせない大人な対応で頭を下げるので慌ててお辞儀を返しながらも
一気に上がったテンションは天井知らずで私の声は明るく弾む
「凄い!!ほんまに木の上に建ってる!私初めて見ました!!」
全てが木で作り上げられたツリーハウス
太い枝と枝を基盤に作られたテラスの上に危なげも無くちょこんと建った可愛い小屋はメルヘンな雰囲気満載で
枝から下げられた二人掛けの木製ブランコ迄素敵過ぎる
急く気持ちを抑えてゆっくりと階段を上がれば見えた丸い扉は金色のドアノブと小窓が出迎えてくれた