第141章 小さな伝説と溶ける幸せ

極寒と言えば犬ぞりなんかが有名なイメージだが、異世界は一味違う素敵なツアーを展開していた


そう、私達が体験真っ只中の乗狼ツアーだ！！



乗馬は本格的なものでは無いにせよ数回経験した事があったけれど、乗狼は経験してみると乗馬よりも安定感のあるものだった

何と言ってもフワフワだし……とにかく可愛いので触れ合っているという事実だけで楽しい





天使のシャワーでの観光を終えた私達は次いでグラスブルーと呼ばれる美しい景色が見られるポイント迄スノーウルフに跨がって移動している

身体に感じる振動はごく僅かで無駄に体力を奪われる事無く雪道を進める事は思いの外快適かつワクワクと胸弾むもので

足元に注意を向ける必要も無く存分に辺りの風景を眺める事が出来るのも良い点だ

とは言え白い雪が続く雄大な雪の大地には視界を遮る物は何も無く、広々と青を湛えた空の下まっさらな白の世界がどこまでも続き

雪国では方向感覚を失うとテレビか何かで聞いた事があったが全くその通りだと知った


もしも私がゼロちゃんにこの場で振り落とされたなら遭難間違い無しだろう……

そんな中でも鼻歌なんて歌いながら呑気に自然の悠美に浸れるのも狼ちゃん達が真っ直ぐに目的地へ運んでくれている安心感からで

私はもっぱら景色よりも彼の背中を見ていた