ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第140章 国の歴史と駆ける狼
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翌朝、木製テーブルに真っ白な食器からホカホカと湯気の上がる朝食を私達は優雅に堪能した
ムーシャでは砂漠の都特有の食文化に触れ、今は北国の食文化に感銘を受けている
野菜に緑は比較的少なく根菜類が中心のメニューで、蒸かして潰したジャガイモの様なものが主食として主流らしい
そして惜しみ無く振る舞われる海鮮の数々
カニやエビ等の甲殻類は比較的ポピュラーなのかちょっとした一品にもふんだんに使用され
身がぎゅっと引き締まって脂の乗ったアイスサーモンは私の世界よりも赤味掛かった鮮やかな色をしていてお味も濃厚だ
朝から豪勢なお料理で胃を満たし大変満足な溜息を漏らした私はすっかり身支度を整えて部屋で静かに彼を待っていた
と言うのも数分前まだベッドルームに籠り鏡と格闘していた私に
「やっておかなきゃならない手続きがあるから少し出てくるよ、直ぐ戻る。」
と扉越しに声を掛けて部屋を出て行ったのだ
この世界において身分を証明出来る物は何も無くシステムもろくに理解していない世間知らずな私
庶民のノウハウを駆使して生活していたあの頃には考えられない程、今の私は世間知らずだろう………
行く先々で全ての手続きを彼に任せ、買い物から何から全ては彼任せ…………
私自身随分箱入り扱いだなぁとは思っていたけれど
………………私ってヤバいくらいに過保護に愛されているのでは………?
瞬間ドキドキと高鳴る胸
彼はこの世界で疑う余地無く貴族階級の方で
その浮世離れした感覚から俗世間を知らずに暮らしていたのだろう事は気付いていた
出会った私の世界で彼は自ら買い物に出た事は無いし公共交通機関を利用した事も無いらしかった
そんな彼がもし単独で旅行に行ったならきっと専属執事の方が何人も付いていて
面倒な手続きだって彼自らが動く筈が無い………
何せ彼は生粋のVIP、イルミ=ゾルディック様なのだから………!!!
そんな彼が私の為………二人の旅行の為………いや、私の為に動いてくれている…………