ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第140章 国の歴史と駆ける狼
フカフカのキングサイズより大きなベッドに二人で潜りながらも彼の声に耳を傾けた私は美しい町の風景を思い返し
氷の天井を見上げたまま何とも言えない胸の高鳴りを感じていた
繊細な氷細工や立派な建築物、私達が今こうしているホテルも全てがたった三組の家族から始まったのだ
見た目の美しさばかりに浮かれていた私だが、クリンアイスの歴史を知った今
見えている景色はまた違った美しさに溢れていた
「………凄いですね……家族愛で出来た町やったんや……」
「………。」
「私明日はもっといっぱい町を見ます」
滞在している今、その話を知れて良かった
今日は終わってしまうけれどきっと明日は町の輝きが違って見えるだろうと思う
ポカポカと暖かい胸は心底幸せな気分で
貴重な町を訪れる事が出来た感慨深さに浸っていた私だが……………
「ま、家族と言っても愛人10人を含めた大家族で三組も合わせれば大所帯の修羅場だったらしいけどね。」
「え"っ!!」
全ての感動をぶち壊す驚きの新事実に胸のポカポカが消えて行く
「致死率の高い昔の話だから子孫繁栄の為……とかって書いてたけど、それにしても愛人10人は異例の多さでとにかく女好きだったって話ばかりが残ってる。」
「…………えー………」
「手癖も悪くて娘の友達を愛人にしたとかしてなかったとか……つまりあれだよ、家族愛で出来た町と言うより女好きが良い結果に転じた町だね。」
「女好きで出来た町って………………えー…………」
……………一瞬でも尊敬した気持ちを返して欲しい…………
ガッカリにも程がある人柄にほとほと呆れながらも昼間見た輝く氷の町は美しくて
まぁ……………動機はどうであれ
やはりクリンアイスは大勢の人々を救った場所には変わり無いし、本当に凄いと思うけれど
そんな落胆話は聞きたくなかったと言うのが実直な感想だ
彼には綺麗な話を綺麗なまま終わらせる事は出来ないのだろうか………
女好きのだらしない人が作ったのだとチラつくのは嫌だし早く忘れてしまうのが一番かもしれない………
「………その代わり女性客が訪れた場合幸福になれる町、なんて言われたりしてるけど。」
「え!!ほんまですか!!」
「……本当わかりやすいよね。」